CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

膝蓋骨内方脱臼

症例報告です。 症例は、30キロの雑種犬左後肢の跛行で来院されました。 一般状態に問題はなく。 左側膝蓋骨脱臼が認められました。 用手にて、膝蓋骨の整復はできましたが起立時に脱臼が認められグレード3と診断されました。 アライメントのゆがみもあり、脛骨粗面の矯正術を合わせて手術をすることになりました。 術式は、滑車溝造溝術、内側支帯筋のリリース、関節胞縫縮術、脛骨粗面転移術を複合して実施しました。中型犬なのでインプラント破折のリスクを考えテンションバンドを設置しました。 造溝術は、キルシュナーワイヤーとサジタルソーを使用して作成しました。 造溝術とは、滑車溝を深くすることにより膝蓋骨の動く溝を再建する方法です。 以前はウェッジと言って三角形に造溝を行なっていましたが、最近はブロックといって長方形に造溝を行うことが多いです。 内側志帯筋のリリースは、アライメントや筋肉の緊張度合いを確認して内側広筋のリリースや縫工筋の一部を切離する方法です。 縫工筋と内側広筋は、膝蓋骨を内方に牽引する筋肉です。 大腿内側の筋肉量を調整することにより、内側に向かって膝蓋骨にかかる力を分散させる目的で実施します。 関節胞縫縮は、脱臼を繰り返すことにより伸展した関節胞の一部を切離し膝関節を安定化させる術式です。 脛骨粗面転移術は、膝蓋靭帯遠位の付着部である脛骨粗面の一部を切離してキルシュナーワイヤーなどを用いて膝のアライメントが整う位置に転移する術式です。 粗面の切り方や移動の幅によって、膝蓋靭帯の張りや方向を調整します。 本症例では、大型犬でありキルシュナーワイヤーの安定化のためにテンションバンドワイヤーを設置しました。 その後、しっかりと洗浄を実施し閉窓しました。 術後2から3日は、圧迫包帯を使用してむくみと痛みのコントロールを行います。 その後、積極的なリハビリなど内科療法を合わせて一週間ぐらいを目安に入院になります。 本症例は退院時、しっかりと患肢を使って歩いて帰ってくれました。このまま元気に過ごしてもらえるとありがたいです。
滑車溝の深さと前十字靭帯の断裂がないか確認しています。
滑車溝をハンドソーを使用して再建しています。 今回はブロック法を採用しています。症例によって、ウェッジ法を選択する場合があります。
造溝後、滑車溝の深さを確認しています。一度膝蓋骨を正常な位置に戻して確認をします。
縫工筋の位置を確認しています。膝蓋骨を内側に牽引する筋肉です。この後、一部筋を切離しました。
膝蓋靭帯の遠位付着部である脛骨粗面の一部をサジタルソー(コリブリ)を用いて接離しています。
接離した脛骨粗面をキルシュナーピンにて固定しています。
術後3ヶ月後のレントゲンです。 インプラントも問題ありませんでした。 本人もしっかりと負重して歩いてくれて元気すぎるくらいです。 このまま、経過を見ていきたいと思います。