[小滝橋動物病院]
東京都新宿区の動物病院
新宿区 大久保・下落合・高田馬場
日曜日も診療・駐車場完備

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CASES 症例紹介
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

椎間板ヘルニア

脊椎(背骨)とは椎骨が多数連結することで構成されています。頭側から頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎に分かれています。椎骨には背側に椎孔と呼ばれる空間があり、いくつもの椎孔が連結することで脊柱管が形成されています。脊柱管内には脊髄や馬尾神経等が通っています。
椎骨と椎骨の間には椎骨同士の動きを良くし、また緩衝材としての役割も果たす椎間板が存在します。中心からゼリー状の髄核、繊維輪、軟骨性終盤で構成されています。この椎間板が何らかの理由で変性し、脊髄が圧迫され神経障害を引き起こすのが椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアには背側の繊維輪が断裂し内側の髄核が突出することで、脊髄神経が圧迫されるHansen I型と、繊維輪が変性し脊髄神経が圧迫されるHansen II型に分類されます。
Hansen I型はダックスフントが代表的な好発犬種であり、若齢でも認められます。急性に症状が現れ、疼痛、麻痺が認められることがあります。Hansen II型は老化に伴って椎間板が肥厚し、徐々に繊維輪が突出することに起因するため、慢性的に進行することがあります。
症状は圧迫の程度によって多様で、大きく5つのグレードに分類されています。
低グレードのものであれば、内科的管理のみで対応できることがありますが、急性のものや高グレードのものは外科的な対処が必要になることがあります。
本症例は10歳、不妊メスのミニチュア・ダックスフントです。前日の夜から急に右後肢を跛行するとのことで来院しました。身体検査、全身のスクリーニング検査、神経学的検査の結果腰部椎間板ヘルニアが強く疑われ、後日M R I検査を実施しました。
T2WI正中断面
T2WI横断面
造影後T1W I矢状断面
その結果上記の様な所見が得られ、多発性腰部椎間板ヘルニア(Grade 3/4)と診断されました。
重度の運動障害があったことから、手術での治療が最善と判断し、片側椎弓切除術(Hemilaminectomy)が行われました。この手術は胸腰部の椎間板ヘルニアで多く選択される術式であり、椎間板物質を直接取り除き、脊髄の圧迫を解除することができます。また骨の除去部位が少ないことから、術後の不安定性も最小限に留めることができます。
術中の写真 背側からアプローチし、減圧を試みる
術後の傷の様子
本症例は手術後リハビリテーションを実地中であり、運動障害は改善傾向です。現在は自立歩行可能となっており、本人もオーナー様も喜ばれていました。今後もリハビリテーションを行なっていく予定です。
獣医師 茂木
参考書籍:犬と猫の神経病学 各論編、犬と猫の治療薬ガイド2015